日常の気付きから生まれるイノベーション。独自メソッドで思考を楽しめる人材を育成する

株式会社mazuWAでは「一歩を踏み出す勇気をつくるサポーターとなる」をミッションに掲げ、人事・マーケティング領域のコンサルティングをはじめ、多様な顧客ニーズに合わせた事業展開を行っています。
特に注力しているのは、研修サービス『Wow Camp』。日常の気付きを起点とした独自開発のプログラムで、イノベーション人材の育成や生産性の高い組織づくりを支援しています。
Wow Campが複数の企業に採用される中、新たな導入事例となったのが関電サービス株式会社様です。同社はビジネスモデルの変革に取り組むも、人材育成に課題を感じていたため、Wow Campの導入に踏み切りました。
今回、4部門・9名の選抜社員による半年間の研修が終了したことを受け、受講者として参加された関電サービス株式会社イノベーション本部の藤原様、労務部の山元様、そして、mazuWA代表取締役の山口に、研修で得た学びや今後の展望などを聞きました。
関電サービス株式会社様
1985年設立の関西電力グループ企業。大阪府に本社を構え、関西一円に約90拠点を有する。電気の検針や工事受付、ガス小売に関する業務などのインフラ事業に加え、イベントプロモーションをはじめとした地域密着型のサービスを展開。変化するエネルギー業界に対応し、デジタル技術の活用や新規事業の創出にも取り組む。

考え、伝え、つながる。「共育」の機会を提供し、個人の能力と組織力を強化する
ー研修サービス「Wow Camp」の特徴を教えてください。
山口:Wow Campには、大きく分けて3つの狙いがあります。
一つ目は「能力開発」です。特に思考力・言語化能力の向上を重視しています。思考の解像度を高めて言語化する力がなければ、想いや考えを伝えることも、相手の意図を理解することもできません。研修では日常の気付きを深掘りし、思考を整理したうえで、言語化するプロセスを繰り返し実践してもらいます。
二つ目は「組織開発」です。業務効率化やハラスメント対策が求められる昨今において、組織における相互理解の重要性は一層高まっています。そこで、Wow Campではグループワークを主軸とし、対話を促しているのです。日常の気付きを共有する過程で社員同士のコミュニケーションが自然発生し、パーソナルな側面や担当業務の課題などを理解し合えるようになる。そうして信頼関係が構築されると、社員の帰属意識やモチベーションは次第に高まり、組織エンゲージメントが向上していきます。結局、イノベーションや部門間連携、シナジーなどさまざまなビッグワードの原点は、「お互いを知る」というシンプルなことから始まると考えています。
三つ目の狙いは「共育」、すなわち共に学び合うことです。物事を見る視点や発想は、どうしても業界の慣習にとらわれてしまいます。そのため、新しいものを生み出そうとするのであれば、まず他業種の価値観や考え方を知ることが重要です。そこで、Wow Campでは、さまざまな企業と関わりのある私を通して情報提供したり、企業同士がつながる機会を設けたりすることで、多面的な学びをサポートしています。
言語化能力の向上を中心に据え、思考力・発想力・共感力を開発しつつ、メンバー同士が多面的に理解し合える。ひいては会社の枠を超え、共に成長する機会を得られるのが「Wow Camp」です。
必要なのは「守り」から「攻め」の意識転換。イノベーションマインドの醸成に期待
ー関電サービス様が抱えていた課題を教えてください。
藤原:関電サービスでは関西電力・関西電力送配電からの受託業務を中心に取り扱っていましたが、イノベーションが求められる風潮の中で、外販の仕事を自ら作り出す必要性が出てきました。そこで、新規事業の創出を目的としたイノベーション本部を立ち上げ、社内でアイデアを募集して事業化する取り組みを進めています。
しかし、社員がこれまで携わってきたのは堅実な仕事が多く、新しい価値を生み出すマインドが弱いということに課題を感じていました。
山元:私は労務部で衛生・厚生業務を担当していますが、DXの推進が遅れていることに課題意識を持っていました。保守的な考えが強く、業務フローや業務処理方法が従来から変わってないので、作業効率を上げる方法はないのかとつねづね考えていたのです。
また、非効率な部分があることを自覚しながらも、改善策を上司にうまく伝えられない点にもどかしさを感じていました。
ーWow Campに対してどのような期待をもっていましたか?
藤原:私たちは仕事の性質上、無意識のうちに守りの姿勢が強くなっています。なので、やれることだけやるのではなく、やってはいけないこと以外はチャレンジするイノベーションマインドを身に付けてほしいと考えていました。
山元:私は思考力や言語能力を高め、自らの成長につなげたいと思っていました。また、部門横断型の研修だったので、会社全体に良い影響を与えてくれるのではないかと期待していました。
山口:受講者がそれぞれに課題を持って参加されている中で、私が意識していたのはサポート役に徹することです。あくまでも主役は受講者。選抜された方々は高い能力を持っていたので、力が最大限に発揮されるような場づくりを心がけました。
また、業種による発想の違いも知ってもらえるように、食品メーカー出身の私が感じた違和感や気付きは素直に伝えていました。その中で、他業種の方を招いた合同開催の回もあり、良くも悪くも無意識的に“当たり前”になっていたことに気付ける機会となりました。刺激を受け合える場を提供できたことは大きな成果だったと感じています。
講師を務めている際には、とにかく考えることを楽しんでもらいたい一心でした。考えることに対しては精神論が多く、現実と離れてしまいます。「もっと考えよう!」や「“普通に”考えたらさぁ、、」などがよく使われますが、これらの基準や“普通”はバラバラで、可視化できていません。そこで、Wow Campでは思考方法を体系的に伝え、再現性を持たせることに重点を置いています。何より、楽しくなければ続かないと思うのです。その先でお客様や仲間を喜ばせることができれば、考える仕事がきれいごとではなく持続可能になると信じています。

考えることが習慣に。思考力・言語化能力の向上を実感した半年間
ー研修を受けてみての率直な感想を教えてください。
藤原:Wow Campは、今までに経験したことのない研修でした。日常における気付きの深掘りと共有をひたすら繰り返すことにはじめは戸惑いましたが、回数を重ねるうちに習慣化されていく実感がありました。
また、他部門の社員と対話する中で、人はそれぞれ違う視点で物事をとらえ、思考していることを身をもって学べたのは大きな収穫です。
山元:日常の気付きを業務に転用するという発想がなかったので、Wow Campでの取り組みは新鮮でした。今では、おもしろいものや新しいものに自然と目が止まるようになっています。また、気付きをシェアするプロセスが相互理解につながり、普段交流のない社員からも多くを学ぶことができました。
ー研修を通じて自身の変化を感じた瞬間はありましたか?
藤原:これまでもマーケティングやイノベーションを学んできましたが、アウトプットする機会がありませんでした。ただ、Wow Campでは思考を言語化して、発表することを求められる。最初は悩むことも多かったのですが、言語化を繰り返すうちに表現力も磨かれた感覚があります。また、ほかの受講者の発表を聞く中で、ワードセンスや語彙力も向上しました。
山元:私は思考を整理して、説明する力が身に付いたと思っています。実際、上司に対してアイデアを提案し、納得してもらえた時はスキルアップしたことを実感しましたね。
藤原:私も研修で得た学びが業務に活かされた経験がいくつもあります。例えば、研修課題でサウナ用眼鏡を取り上げた時に、安全・安心を重視する消費者心理を深掘りしました。その時の学びを販売事業に転用し、ターゲット層に対する訴求方法の見直しに役立ちました。
山口:まさにWow Campが意図してるところが実現されていますね。課題と向き合い、今までになかった方法で解決していく。その小さな一歩の積み重ねが大きなイノベーションにつながると私は信じています。

Wow Campでの学びを点から線に。柔軟な思考・感性を広げてより強い日本社会の創出に貢献する
ーWow Campのどこに可能性を感じましたか?
藤原:Wow Campでの学びは、受講者がそれぞれ職場に持ち帰って実践し、業務改善につながるでしょう。ただ、受講者に対して、各部門をけん引していくことまで求めるのは難しい。そのため、受講生を増やし、点を線にしていくことが次の課題だと考えています。
山元:これから受講生が増えていくと、社内コミュニケーションはより円滑になると思います。お互いの意見に耳を傾け、刺激をし合える文化が根付けば、新しい発想も生まれやすくなるはず。Wow Campが社内に浸透し、新しい風が吹き込むことを期待しています。
ーどのような人にWow Campをおすすめしたいですか?
藤原:若手だけでなく、40~50代の社員にもWow Campを受講してほしいです。思考力・言語化能力を身に付けた社員が新しい提案をしたときに、ベテラン社員が柔軟に対応できるかどうかが重要になってくるはずです。イノベーションを巻き起こすには、受け入れる側の考え方や姿勢も見直していく必要があると考えています。
山元:課題を目の前にして、異なる視点に立った考え方を求めている方には、Wow Campをおすすめしたいです。また、スキルアップによって自己肯定感が上がる研修なので、自分に自信を持てない方も受講する価値があると思います。
ー今後、Wow Campをどのように発展させていきたいですか?
山口:関電サービス様の研修は次年度以降も継続して実施し、会社全体がレベルアップできるようさらに規模を拡大してサポートさせていただけることになっています。受講者の考え方も世の中も常に変化しているため、同じ方に複数回受講していただくのも一つの方法だと考えています。
また、インフラ企業への初導入となった今回、業界の枠を超えてWow Campが活かされることを実感しました。今後はより幅広い業種に向けて事業を展開していく方針です。
世代間ギャップが拡大し、「当たり前」の定義が多様化する現在において、価値観の違いに気付けるWow Campの存在意義は大きいはずです。日々Wow Campの改善を重ね続け、より強く、より良い日本社会の実現に貢献していきたいと思います。

クレジット
インタビュー・執筆:稲井亮介/編集:菊野綾奈
撮影:正畑綾子